建築家アルネ・ヤコブセンによるデザイン「セブンチェア」の修理

2018年09月14日


購入から約10年。ある日食事中にパキッという鈍い音。
自宅のダイニング椅子4脚のセブンチェアのうち、私の座
っている椅子1脚の背座板が取れ、壊れてしまいました。

 

建築家アルネ・ヤコブセンによるデザイン
「セブンチェア」の修理

北欧デンマークの建築家、アルネ・ヤコブセンによる
デザインの「セブンチェア」。
フリッツハンセン社が製作、同社を代表する椅子で、
世界で初めて、背座一体三次元曲面の成形合板による形状
を実現したアントチェアの後継として、
1955年に誕生したと言われています。
座った時に背もたれがしなる柔らかい座り心地。
軽く持ち運びが容易であるだけでなく、傷つくこと無く
スタッキングが出来て、重ねても美しいデザイン。
個人住宅のダイニング椅子だけでなく、店舗やオフィス、
公共施設などの椅子としても幅広く活用され、
世界中で愛されています。

自宅のダイニング椅子として、購入してから約10年。
一か月前のある日、食事中にパキッという鈍い音。
4脚あるセブンチェアのうち、私の座っている椅子1脚の
背座板が、特に前触れなく取れて壊れてしまいました。

こんなディテールになっているのか?!

金属製の脚と合板の接続部分が、プラスチックのパーツ
により接着剤のみで取り付けてあることが、壊れて
みてはじめて分かりました。
中央のたった一本のビス止めは、おそらく接着剤固定の
位置出し等に必要なもので、強度を約束するような
おさまりではありません。もしかすると、背座板が外れた
際、一瞬で脱落してしまうことを避ける、最後の安全確保
が主旨なのかもしれませんが、定かではありません。
とにかく、残念であるというよりは、驚き。
性能やコスト等あらゆるバランスを考えた選択のはず。
考え抜かれたディテールに、接着剤のみの貼り付けを
採用していることに驚きました。

そしてさらに驚き。

なんと、製作したフリッツハンセン社では、修理不可。
本当?!
再生する場合は、新たな背座板を購入するかたちで、
金属の脚と接着剤で固定する方法しかないようなのです。
つまり、正規店では今まで使ってきた愛着ある背座板を
使えないことになります。(もし正規店で修理可能と
いう情報がありましたら知りたいです。ご一報を。笑)

インターネットで調べたところ、ありました。
ヴィンテージ家具を扱うDECO-BOCO横浜店
きちんと修理できる方法をみつけ、修理を受け付けている
お店です。しかも有り難いことに、偶然にも
自宅から車で20分ほどの場所。
問い合わせたところ、車で持ち込み、2週間以内で
出来るということで、早速お願いしました。
無事もと通り、なおりました。全く問題ありません。

大切なものづくりです。

詳しい修理方法は、DECO-BOCO横浜店のホームページで
確認出来ますが、概略としてはオリジナルのプラスチック
のパーツを、独自開発した木製パーツに変えることにより
ビス等でしっかり固定するアイディア。家具の癖や
個体差に注意しながら、都度ハンドメイドで対応する
確かな技術と精度が、家具再生を支えていると感じました。
大切なものづくりです。


ヴィンテージ家具を扱うDECO-BOCO横浜店



フリッツハンセン社オリジナルのプラスチックパーツを、
DECO-BOCOで独自開発した木製パーツに変えることにより
ビス等でしっかり固定し、再生している。



DECO-BOCO横浜店の飯島さんから、直ったセブンチェア
の受け取り。金属の脚もピカピカにして頂き嬉しい^^

 

教室がすべて黒板の教室?!

2018年08月20日

ユニークな建物形状の、まつだい雪国農耕文化村センター
農舞台(設計:MVRDV)。ミュージアム機能をもつ
比較的小さな公共施設ですが、屋内外とも来訪者を刺激
する、様々な見所がありました。

例えば、河口龍夫さん「教室」という作品は、
屋内の一室がまるごと作品となった、体験型の作品。
なんと、教室すべてがチョークで描ける黒板塗装で仕上
げられた、まさに教室がすべて黒板の教室です。

来訪者が、自由にどこにでもチョークで描き込める空間。
チョークで何かを描いている子供たちや大人も、
それを生徒のように眺める人々も作品であるような佇まい。
教室であることは、子供でも分かると思うのですが、
明らかに教室とは違う振る舞いが生まれているようです。

実際にチョークを持ってみると、落書きとも何か違う
スイッチが入るような感覚を感じました。
リラックスした空間であるのに、微妙な緊張感もある。
不思議な高揚感と共に、何かを問いかけてくる空間。
たまたま訪れた施設でしたが、良い出会いでした。



手足を伸ばし地面から浮かぶ建築。手足がそのまま
切り込む通路となり、歪な屋内空間を生み出す構成です。
緑の部分が、河口龍夫さんの「教室」という作品。




周囲の自然を眺められる大きな開口部以外は、屋内全てが
黒板塗装された不思議な空間。