実施設計で必要な敷地の採寸 @木造住宅の家づくり

2016年10月2日

 

実施設計で必要な敷地の採寸 @木造住宅の家づくり

家づくりに向けた基本的な方向性を決める「基本設計」。
建設に向けた詳細をつめる設計が「実施設計」です。
基本設計に必要な敷地形状は、土地の大きさや方角、
地盤レベルなど、測量図によってかなり網羅できますが、
実施設計では、敷地境界にある塀の仕様や大きさ、
道路からの給排水引込の有無や位置等々、測量図にない
多くの情報が必要になります。
不足情報は、どうするのか?
敷地に足を運び自ら調査採寸です。
時間のかかる、地道な情報収集が、ほぼ全ての設計者の
日常であることは、一般に意外と知られていない
ことかもしれません。

同時期の実施設計となりました、
新築ショーホーム計画「クラフトマンの家」では、
敷地際の擁壁高さをメジャーで採寸。実はこのメジャーは
常に持ち歩いています。
新築住宅計画「心地よい風と緑のある家」では、
施工担当の中山建設 中山さんにご協力頂き、測量図で
追い切れていなかった、土地の傾きや隣地の地盤レベルなど
を専門の計器で測定して頂きました。

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◆古川による、メジャーを使った現地擁壁採寸の様子。
 (撮影:中山建設)

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◆中山建設 中山さんによる、計器を使った地盤レベル測定。

 

「永く楽しむ家」最後の3者打合せ

2015年12月8日

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◆震災で瓦が落下した入母屋形式の大屋根は、なだらかな
片流れ屋根に改築。被害の大きかった土壁の外壁も耐震補強し
修繕の目処が立ちました。これで安心です。

震災再生リフォーム住宅「永く楽しむ家」は、
年内に概ね竣工を予定しています。
施主・施工・設計が集まる、最後の現場打合わせを終えました。

概ね竣工とはどういうことか?
本件は、工事全てが竣工していない状態で一端お引渡しします。
施主ご家族は、仮住まいから引っ越し、住み始め、
暮らしながら、適切なタイミングで残りの工事を行う工程。
来年4月に全体の完成を予定しています。

長野市のプロジェクト。工期・工程の状況から、
外壁のモルタル下地が乾くタイミングで雪が降る可能性があり、
吹付け仕上げを、あわてて行うことが得策でない。
気候が安定する春に、外壁や庭などの外構工事を行う方針と
して、施工の飯島建設様からご提案頂き、施主ご家族と
相談の上進めています。

結果として、住みながら窓から見える外構計画等を練り直し、
諸々微調整できる良い機会となりました。
少し先になりますが、より全体の仕上りが楽しみです。
関係の皆さま、よろしくお願い致します。

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◆屋根仕上げの検査立会い。ガルバリウム鋼板仕上げによる
大らかな一寸(1/10)勾配の屋根下端に、雪止めも
しっかり付き安心。飯綱山は雪化粧です。

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◆外壁モルタル下地の下塗り。順調です。

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◆屋内の最終打合せ。手際良くメモを取る現場監督竹内さん
による施工図を中心に、内装おさめの最終チェック。

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◆新築と違いリフォーム工事は、現場の進捗に合わせ
図面をおこし、臨機応変に調整が必要な場面が増えます。
写真は屋内建具まわりの施工図。

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◆リビングダイニングの天井は、床仕上げと同じ信州唐松
仕上げ。下地や照明設備の位置を確認しつつ慎重に施工。

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◆既存の塀を一部解体することで、バリアフリーに配慮した
伸びやかな外構へリニューアル。完成は少し先になります。

番外編?
長野~東京間の新幹線乗車による移動で進めてきました
現場監理。東京駅ホームのキオスクで、いつも購入していた
私の定番、5色おにぎり「むすっこ」。
時間があるので、食べながら図面チェックしたり、新たな
プロジェクトのアイディアもねったり。
少し前なのに、ちょっぴり懐かしい。笑
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許可申請に必要な外構計画

2015年06月1日

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新築住宅「緑景の家」。

敷地が、都市計画法上、以下2つの対象地にあるため、
建設にあたっては、市に対する許可申請が必要となります。

①市街化調整区域
 新たに建築物を建てたり、増築することを極力抑え、
 市街化を抑制するよう定めた区域。
②風致地区
 都市内外の自然美を維持保存するため、建築形態や
 樹木の伐採など、一定の制限が加えられる地区。

住まいの建設ですから、建物について設計を行う事は
誰もが想像出来ることなのですが、上記対象は
敷地内全てに及ぶので、建物のまわりとなる外構計画
も許可申請の対象となるところがポイントです。
 

許可申請に必要な外構計画

外構計画と言えば、庭や塀など建築と連続して考え、
楽しく快適な住環境を目指すことは、日頃常に取り組んで
いるところですが、許可申請に必要な外構計画は、
ちょっと違ってきます。

端的にいうと、
実際の「効果」ではなく「数量」が判断基準。
◆植栽
例えば樹木であれば、隣地や周囲の緑を借景で活かすこと
で心地良い、などという設計の話でなく、自身の敷地内に
決められた大きさ以上の樹木が、何本あるかを示す
植栽図をつくることが、許可申請の外構設計となります。
以下、本件の法的必須事項。
・建築行為があるため敷地面積の割合から
 2m以上の樹木が、敷地内に10本以上必要。
・1.5m超の宅地切土があるため敷地面積の割合から
 3m以上の樹木が、敷地内に5本以上必要。
・擁壁建設で竹林伐採があるためその範囲の割合から
 1m以上の樹木が、敷地内に3本以上必要。
必要な樹木は、既存の樹木も兼ねられる代わりに
既存の樹木の位置や大きさを、全て図面化することが
求められ、それが許可申請に必要な植栽図となります。
◆擁壁
擁壁や地盤の切土・盛土では、高さなど一定規模以上
有るか無いかにより、許可申請の要不要が問題となるので
土を動かした分量や、擁壁の高さを明確にした図面が
許可申請に必要な、外構設計図となります。
また、擁壁施工部分が前述の竹林伐採となるため、その
施工水平投影面積が、竹林伐採面積の根拠図となります。

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◆中山建設 中山さんにお手伝い頂き、既存樹木の数量調査。
中山さんが計測、私が記録ということで進行。お疲れ様でした。

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◆植栽図の作成。既存樹木の配置、数量を示し、風致地区
許可に必要な樹木数量を満たしていることを示します。

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◆当初、擁壁はコンクリート造擁壁とする予定でしたが、
コスト縮減や既存斜面を出来るだけ温存する等考えから、
横浜市標準仕様に従った「間知ブロック擁壁」に変更。
ku-kan設計建築士事務所 川西さんに設計協力をお願いし、
まとめて頂きました。ありがとうございます。