大工さんによる墨付け&手刻み加工

2016年07月18日

 
大工さんによる墨付け&手刻み加工

新築住宅計画「中庭ガレージの家」では、
有限会社スタイル大工さんにより、
柱・梁・土台などの主たる材木が全て手加工されています。

材木に墨壺をつかって線を引く「墨付け」と、場所を示す
「番付け」を頼りに、一つ一つ様々な道具を使って「手刻み」
していく、むかしながらの手法です。

データを入力し、オートメーションで主に集成材の柱梁を
機械加工する(プレカット)技術も進んでいますが、
本件は、無垢の木材を主に、柱と土間コンクリートの直接の
取り合い、片流れの登り梁と現し梁の取り合い、その他
無垢木材の手加工技術が活きることで、より魅力ある構成が
実現される住まいと言えます。

設計者として現場監理の立場というより、
むしろ伝統ある技術を体感して、次世代に何かを伝えたい。
と、いう気持ちで作業の過程を見学させて頂きました。

集成材とはちがい、絶え間なく変形する木のクセを
読み込み、向きなども調整。
なぜ、その方向なのか?なぜ、その切り方なのか?
もちろん、全てではありませんが、
大事な何かを感じることができました。

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◆大量の材木が搬入されます。置き場所、手作業工程
から現場への搬入まで、順番や段取りも重要です。

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◆「墨付け」している様子。墨壺にある液状の墨を含んだ
糸をはじき、柱芯などの直線を木材に直接転写します。

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◆柱・梁・土台など番付け(位置を示す文字情報)を含め
墨付けされた材木が並ぶ。プレカットによる機械加工では
取り入れない「小根(こね)」なる部分(下写真)を、
大工さんに教えて頂きました。実施設計でも考えたことの
なかった、大工さんの「さらなるひと手間」と言えます。

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◆「手刻み」加工は、常にイレギュラーな出来ごとに対応する
柔軟性や根気、悩まず進める思い切りの良さ、様々な道具を
使いこなせる技術など、多くの経験と鍛えられた直観力の
ようなものも大事になってくるようです。

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◆居室天井の現し梁となる材は、表面にブラシをあて木目を強調する
「浮造り(うづくり)加工」で美しい無垢材の表情を活かしてます。
予め自然塗料で着彩仕上げしたうえで、運搬用に一本一本梱包。
まるで、口にいれる食品を扱っているような、繊細な作業でした。